日本に伝わった仏教の世界では、最初は悪神だった風神・雷神が二十八部衆と戦って善戦するもついに降伏し、それからは仏教の守護神となることを誓った…とされますが、そのお話がどうにもご都合的で胡散臭く思えた僕は、日本古来の自然信仰の象徴とも言える風神・雷神が仏教勢力に実は負けなかったという妄想を具体的な形にしたくてこの風神を作りました。最近になって、最初に作った時には無かった摩睺羅伽王の首をぶら下げて、二十八部衆と互角に戦う荒々しさを強調してみました。「自然は恵みも与えるが脅かしもする」というのがホントのところで、“信じれば救われる”ものとは根本的に違うと思うのです。―　竹谷隆之